椎間板ヘルニアの痛みを抱えながら前へ進む男性の影 回復への歩みを描いたイラスト

第6話 再び立つ―小さな成功体験の積み重ね

椎間板ヘルニアの痛みを抱えながら前へ進む男性の影 回復への歩みを描いたイラスト

令和7年3月上旬

 痛みがわずかに変わった日から、私は毎日の身体の変化を細かく観察するようになりました。
治療家としての経験が、いまは自分の身体を診るための大切な手段になっていました。

朝、布団から起き上がる時の痛み。
靴下を履く動作。
院内を歩く時の脚の運び。
施術台に向かう時の腰の突っ張り感。
それら一つひとつの動作に、小さな改善が生まれ始めていました。

たとえば、靴下を履く動作。
以前は椅子に座り、少し前かがみになるだけで右脚に激痛が走り、途中で何度も中断していました。
しかしある日、痛みはありながらも、ゆっくりと最後まで履くことができました。
治療家としては当たり前すぎる改善も、患者目線からは大きな進歩でした。

院内の移動にも変化が出てきました。
歩く姿勢も身体の傾きが減り、足を前に出す動作も以前よりスムーズになっていました。
「今の一歩、悪くなかったな」そんな小さな自信が心の中に芽生え始めました。

施術中も、姿勢を変えるたびに走っていた痛みの角度が変わり、「痛みはあるけれど、動ける」という感覚が出てきました。
治療中の患者さんに触れる指先にも、余裕が戻ってきました。
痛みに耐えながら技術を使っていた時期に比べ、呼吸が深くなったのを自分でも感じました。

ある日の帰り道、私は試しに前傾した体を起こして背を伸ばし歩幅も普通に歩いてみました。
数歩だけ。
痛みはあるものの、激痛で膝が抜けるほどではありませんでした。
たった数歩。
しかし、その数歩が私には大きな意味を持っていました。

負傷から3ヶ月、未来のイメージはいつもぼやけていました。
歩ける姿、稽古に戻る姿、治療家として笑顔で患者さんを迎える姿…
そのすべてが遠い世界の話のように感じていました。
しかし、この数歩がその未来を「現実として想像してもいい」と思わせてくれました。

もちろん、まだ痛みも痺れも続いていました。
夜になれば痛みで苦しみましたし、日中の動作でも不自由を感じていました。
それでも、私は予感していました。
「戻れる」
その感覚は誰かに言われたものではなく、自分の身体が教えてくれたものでした。

小さな成功体験を積み重ねながら、私は少しずつ再び立ち始めていました。

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※本記録は個人の体験であり、治療効果を保証するものではありません

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