令和7年3月下旬
再び歩けるようになったとはいえ、まだ痛みと痺れは残っていました。
相変わらず苦しむ夜もあり腰の奥にはいつでも、あの悪魔(痛み)が潜んでいる感覚がありました。
それでも私はある日、空手の道場に足を運びました。
稽古を休んでいた期間、徐々に自主トレで動かせる部位のみリハビリはしていましたが空手の動作は避けていました。
動いた瞬間にあの電撃痛が走るのではないか…
その恐怖がずっと足を止めていたのです。
しかし回復の兆しを感じ始めた頃から、心のどこかで「戻りたい」という願いが膨らんでいました。
「そろそろ一歩踏み出してみるか」
そう思い、久しぶりに道着の袖を通しました。
生地の感触、布の固さ、帯の匂い。
どれも懐かしく、改めてここが自分の居場所なんだと感じました。
帯を締めた瞬間、身体の中心が「武道家の位置」に戻ったような感覚がありました。
道着と帯には不思議な力があります。
これまでも、痛みがあっても帯を締めれば何故か身体が動いてしまう。
どれだけ疲れていても、道場に立つとスイッチが入る。
長年そうやって心身と付き合ってきたことを思い出しました。
誰もいない道場に足を踏み入れると、
マットの感触が懐かしく、呼吸が自然と深くなりました。
まずは深呼吸をして、自分の身体の状態を確かめました。
腰の奥の張り、脚の感覚、重心の位置、筋肉の緊張。
治療家としての視点で、一つずつ丁寧に探っていきました。
ゆっくりと三戦立ちをしてみました。
痛みはある。
けれど、以前のような「崩れ落ちる痛み」ではない。
次に中段突きをしてみる。
腰に響くが動ける範囲だ。
「いけるかもしれない」
そう思い、さらに一歩踏み出してみる。
その瞬間、右腰の奥にわずかな痺れが走りました。
私はすぐに動きを止め、呼吸を整えました。
その日は、基本動作だけで終えました。
突き技と移動稽古をゆっくりと数本こなすだけ。
それでも私にとっては「大きな復帰」でした。
痛みを抱えながらも再び技を出せたこと。
道場の空気を吸い、武道家としての自分を取り戻し始めたこと。
終わった後、腰はじんわりと重くなり痺れも少し増えました。
それでも心は落ち着いていました。
「道場に戻ってこれた。空手着を着ることができた」
治療家としての自分が「無茶をしてはいけない」と警告していましたが、武道家としての自分は「まだ戦える」と手ごたえを感じていました。
二つの想いの間で揺れながら、私は確かに前に進んでいました。
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※本記録は個人の体験であり、治療効果を保証するものではありません