『満開の桜並木』

仙台の桜も満開をむかえています。数ある名所の中、ある想いからこの地に足を運びました。
何事にも縛られず心のままに、周囲の方々の笑顔に囲まれながらの暮らし。
幸せとは心のあり方。
人生最後の日まで楽しく笑って生きていく。
こんな生活を目指して日々頑張っているのかなと思う時がある。
今日満開の桜並木を歩く。
ちょうど1年前同じく満開に開いたこの桜の下を信爺さんも自分の足で歩いていた。
信爺さんは数年前私がその土地の接骨院の分院長をしていた時の患者さん。
幼少の頃より釣りが何よりも好きで、魚の話しをしだすと止まらない。
戦争時、外国の海で何匹もの大物を釣りあげては食に困っている方々に置いてきたと、中には鮫が引っ掛かる事もあったらしい。 まさしく世界の魚を知るお爺さんでした。
どんな方にも分け隔てなく接するその人柄は自然に多くの方々の中心となっていきました。
多くの悲しみ苦しみを背負っているはずの背中も全てを受け入れ柔らかく吸収してしまう。その表情、言動にはいつも楽しさ、温かさで溢れている。
 
自分を制御する事無く自然と楽しんでいるからこそ、周囲の方々も自然に楽しくなるのでしょう。
毎日の治療中の会話、本物の戦争の姿は教科書、テレビでは決して聞くことの出来ないお話し。苦しいときの心の持ち方、ごく自然に教えていただきました。
信爺さんとの数多い思い出はまた別の形で書き残す事にしましょう。
1年前、信爺さんはどの様な気持ちでこの桜並木を歩いていたのでしょう。
溢れる笑顔が目に浮かびます。
その日の晩は自宅で大勢の家族皆と食事を楽しくされたとの事。
そしてその後、持病が悪化し最後の夜となりました。
桜満開の夜の大往生。
桜吹雪と共に天国へ旅立たれた信爺さん。
多くの想いを人々の胸に残して。
今日満開の桜並木を歩きながら想う。
限られた時の中、自分の心の声を大切に生きていきたいと。

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