スポーツ選手の怪我と大会出場の判断、皆様はどのような基準で行っていますか?
治療家とのインフォームドコンセント(説明と同意)と治療・リハビリ計画の共有は必修。
時としてその大会にはたとえ症状が悪化しても出場と固い決意を持つ選手も当然いる。
後遺障害が残ると判断したケースはもちろん厳しくストップ。そうでない場合は出場した場合の症状悪化、再負傷のリスク等を説明し、リハビリ・テーピング・フォームの改善等行い現状で残された時間でのベストコンディショニングを目指す。
やるのか?やれるのか?やるにはどうしたら?
[10月16日]
前略
はじめまして、F県立A高等学校チアリーディング部顧問をしておりますTと申します。(元患者さんの同僚の先生)
昨日15日(日)の午後に、チアリーディング部の生徒(1年女子)が階段を2段踏み外し、右足足首の内側をひねってしまいました。痛さが尋常でなかったので、すぐに病院に行かせました。救急でしたので、応急処置(固定、松葉杖)をしていただき、本日、病院で診察をしていただきました。その結果、靱帯がかるく伸びており、2週間は固定しないとなおりが悪いと診断されたようです。また、固定の仕方は、板のようなもので、包帯で固定しているとのことでした。
来月11月3日にチアリーディングの大会が控えています。このような状況でもどうしても出場させたいので、そのための治療法・リハビリ方法・アイシングの時間と回数をおしえていただければ幸いです。また、練習方法はチアリーディングなので、チーム全体で練習しなければならないところも気がかりな点です。 申し訳ございませんが、お返事をいただきたいと思います。
負傷日が昨日なのでまだ痛みは強いと思います。
現段階ではRICEが基本です⇒添付A 参照
病院での2週間の固定という診察と文面の症状より軽度から中程度の捻挫でしょう。
今回の状態でもどうしても出場という事で話は進めます。
まず損傷した靭帯の回復期間は今回のケースでは2~3週間でしょう。
今出来ることは⇒添付Bを参照にすると良いでしょう。
痛みのない範囲で行い終了後は必ずアイシングを行います。
チアリーディングの動きはかなりハードな一面もあると思います。
今週中は出来る限り全体練習のみの参加が基本となり他は別メニューです。
患部のリハビリについては上記参照のとおり。上半身のトレーニングやストレッチング、ビデオ等でのイメージトレーニングを行いチアリーディングは全体であわせる練習のみ参加ということです。
全体練習を行う際は必ずテーピングで患部を保護します⇒添付C
ホワイトテープ(非伸縮性テープ)を主に使いどの方向に動かしても痛みがない状態を作ります。 これが最低条件。
大会当日までテープ固定を行う可能性もあるのでテープの強さ貼り方等で皮膚が負けないよう注意します。そして練習後は必ずアイシング。
一歩間違えれば習慣性捻挫(捻挫癖)となり全身症状に発展するおそれもあります。
「11月3日には出場できます。」 のでくれぐれも慌てずに症状を冷静に感じながら練習とリハビリ治療を同時進行していきましょう。
[10月24日]
経過報告です足首の腫れもなく、ギプスをはずして、100%の体重をのせ、ゆっくりの歩行が可能でした!(速度を速めると足首の内側が少し痛むということでしたが。)
足首のトレーニングでは、内側に少し痛みがあると言っていますが、思ったよりも大丈夫で、かなり力も、そして可動域も広く足首を動かしていました。 病院へ行く時間がどうしても取れないということで私達の判断で外させました、これって大丈夫でしたかね?
長すぎる完全固定はマイナス要素にもなるのでタイミング的には適時でしょう。その後はサポーターや、テーピングで患部の保護を続けるけど、そのあたりは? 練習時のテーピングは適切に巻けてるのかな? 負傷後の患部周辺に出る血腫(黒血)の量はどうだったかな? およその損傷程度の目安にもなるよ! 本人に聞いてみよう!よい勉強になるとおもうので頑張って!
先生がおっしゃる血腫についてなのですが、私も以前、捻挫した時にすごい血腫ができたのを思いだし、この生徒はどうだろう!?と患部を見たのですが、全く血腫らしきものは見つかりませんでした。本人に聞いても、捻挫したときも、その後もできていないという話で・・・。
これっていうのは、捻挫の程度が軽いとできないものなのですか?
足関節捻挫負傷1~3日後から出てくる皮下出血は靱帯損傷の程度・重傷度と比例します。これが顕著な場合は断裂が大きい恐れがあるので慎重な経過観察が必要になる。この状態で無理を続けると、関節にゆるみが残り続発症へと繋がる。皮下出血が出てこないケースは表面に出る前に吸収されてしまうわずかな出血でしょう。よって症状も軽いのが一般的。今回のケースも組織度の損傷は軽く、現段階では順調に回復している事でしょう。この時期の注意点は再発予防! たとえ順調でもキネシオテープ等での補強は必要でしょう。
[11月3日]
東北大会に出場し、銀賞を受賞してくることができました。
足首の状態は、まだ少し痛みがある状態で、万全ではなかったのですが、最後まで全力で演技し、満足感でいっぱいの様子でした。
本当にありがとうございました。今後もまた宜しくお願いします。
銀賞授賞おめでとうございます。
A高校の生徒は熱心な先生達に囲まれて幸せだね!
全力の演技での悪化も考慮してリハビリの続きはキチンとしましょう!
大会、試合後のケア、次に繋げるためにもとても重要です!
生徒のリハビリ、きちんとやらせます!!
近頃、一段と寒くなってきましたので、先生も体調管理には気をつけて、今日も患者さんのために笑顔を振りまいて下さいね(^_-)
~院長の質問箱より~