『青い目のライバル』

 当院ではアスリート(運動選手)の患者さんが来院します。
怪我の施術だけでなく、練習メニューや体調管理方法、試合の準備やメンタルコントロールなど話は尽きません。
ある選手が、あいつさえいなければ俺だって…。という話題になりました。
身近な強敵、それをライバルと呼びます。
 約30年前、国際空手道連盟極真会館 東京都下城西支部某道場 私の会員番号1つ後ろには大きな外国人(M.Sさん)がいました。
入門日ほぼ同じ、稽古日も同じ、スーツ姿のジェントルマンは道着に着替えると別人化します。
稽古の終盤、スパーリングという組手形式の練習があります。
当時彼も私を同期だという特別の感情があったのか、私と戦う時はほぼフルパワーで殴り、蹴りこんできました。
青い目を見開き全力で向かってくる彼に、こちらも全力で迎え撃ちます。
ハンマーのような拳が胸骨に直撃すると命の危険を感じましたが、痛い素振りを見せる訳にはいきません。
ダメージを引きずりながら折れそうな心を奮い立たせ、自宅の庭に角柱を突き刺し帯を巻き付けて、ひたすら正拳突きを打ち込みました。薄い胸板をウエイトトレーニングで鍛え上げました。
怖いながらも楽しくて痛いながらも充実していた当時は、彼との組手のためだけに生活が回っていた気がします。
出会いから半年の稽古後に彼は「ワタシは今日が最後の稽古です。アナタはとても強いですね、出会えて良かったです。たくさんありがとうございました。これからもガンバッテください」と言って、ハンマーの拳を大きく開き、両手で優しく握手をし帰国して行きました。
ライバル、今思えば異国の彼との関係は、お互いの人生で奇跡的に共有できた瞬間だったのでしょう。
アスリートの皆様、出会いにはそれぞれ意味があります。
目をつぶれば、流れていく出会いを意味あるものに変えるため、今を全力で乗り越えてください。
それこそが、我々アスリートの財産なんじゃないでしょうか?
良きライバルとの出会い、切磋琢磨を応援しています。

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